日本勤労者山岳連盟
Manaslu Expedition 2001


 
 
ネパール・マナスル峰(8,163m)

 マナスルってどんな山?

  マナスルは、ネパールの首都カトマンズから北西に約120km、
  中国チベット自治区との国境から南へ約35kmにあります。
  世界に14座ある8,000m峰のうち、8番目に高い山です。

  名前の由来は、サンスクリット語でマナ、またはマナサが「霊魂、心」を
  ルンが「国、土地」を意味します。
  別名プンギェン。チベット語で「飾り腕輪」という意味で、
  この地の土着神の名前でもあります。

  この山は、日本と深い関わりがあります。
  1956年、日本山岳会によって世界で初めて登られた山なのです。
  マナスル三山と呼ばれる、マナスル、ヒマルチュリ(7,893m/1960年)、
  ピーク29(7,871m/1970年)は、いずれも日本隊によって初登頂されました。

  1974年、日本女子隊によって日本女性3人が登頂したのですが、
  これは女性による世界初の8,000m峰登頂となりました。
  そして1981年には、日本人男性3人が酸素ボンベを持たずに
  登ることに成功したのです。

  このように、マナスルは日本人にとって縁の深い山なのですが、
  現地事情の複雑さや雪崩の危険性をはらんだルート内容などから
  8,000m峰の中では今でも登山者を迎えることの少ない山です。
  私たちは、マナスルから流れ出す4つの氷河のうちマナスル氷河から、
  初登頂の時と同じ北東面ルートを登ります。

  またこの地域は、繁殖地のモンゴルからヒマラヤ山脈を超えて
  インドまで5,000kmの長旅をすることで知られるアネハヅルが
  見られる地域でもあります。願わくは、この目で見ることができたら・・・。

 どんな隊で行くの?

●主催/ 日本勤労者山岳連盟(以下労山)

  世界最高峰のチョモランマをはじめ、
  8,000m峰登山を7回行い、
  6座登頂という実績があります。


8000m峰無酸素登頂
日本人最高齢記録保持者
世界14座のうち、6座登頂
●隊の名称/

  日本勤労者山岳連盟マナスル登山隊2001

●メンバー/ 6人

  隊長    近藤和美(こんどう・かずよし)
          59歳 労山副会長/写真右上

  登攀隊長 倉橋秀都(くらはし・ひでとし)
          41歳 墨田山の会

  隊員    上野幸人(うえの・ゆきと)
          47歳 盛岡山友会

         栗原 功(くりばら・いさお)
          42歳 前橋勤労者山岳会

         齋藤 明(さいとう・あきら)
          40歳 郡山勤労者山岳会

         大久保由美子
          32歳 同人クライミングファイト

  高所ポーター サーダー以下3〜4人

●参加の経緯

今年は、本来パキスタンのナンガパルバット峰を計画していたのですが、直前になって乳癌を患っていることが判明。手術&リハビリのため、泣く泣く断念したのでした(ちなみに、参加するはずだったドイツ隊は、日本人1名を含め6月30日に12人無事登頂しました)。病気発覚直前、ナンガパルバットに登ったことのある近藤氏にヒアリングに行ったのですが、そこで秋のマナスルの計画を聞き、これから他の隊で出かけようというのに、「いいな!」と直感的に思ったのです。そのため手術が決まってすぐ近藤氏に「もし、病後の経過がよかったら参加させてください」とご相談しておいたのです。幸いリハビリが順調で自分の身体に責任を持つ自信がついたので、このたび参加を決心しました。
 どうやって登るの?

まずは、イギリス隊の登山家ティルマンによって「世界で最も美しい谷」と紹介されたランタン・ヒマールの、ナヤ・カンガ(5,843m)という山で高所順応トレーニングを行います。この山は、カトマンズの北北東約50kmにあります。ランタン・ヒマールは高山植物の宝庫で、短期間で楽しめるトレッキングコースとして人気のあるところです。

なぜこのようなトレーニングが必要なのかというと、薄い酸素、低温・低圧に身体を慣れさせるためなのです。マナスルはそのベースキャンプでさえ5,000mにあります。標高8,000mにもなると酸素の量は平地の1/3となり、突然その高度に連れていかれたらどんな人間でもまたたくまに死んでしまうでしょう。ところが、人間の身体というのは不思議なもので、周りの環境に少しずつ慣れさせていけば、死んでしまわないようにその仕組みを作り替えてしまうのです。「グラン・ブルー」で有名になったジャック・マイヨールも、素潜りで水深100mを超える記録を作ったのですが、彼の水中での身体を調べると脈は20回台/分にまで下がり、血液が心臓などの重要な気管に集中していくのだそうです。この例からもわかるように、生命は驚くほど急速に周りの環境に順応する力を持っているのです。だから酸素が1/3でも、何度も山の上にあがったりさがったりして、少しずつその折り返し地点の高度を上げていくと、登山活動を始めて1ヶ月もしないうちに、自然な呼吸のまま頂上に立つことができるのです。

 スケジュール

●時 期/ 2001年8月25日〜10月24日予定(61日間)

●日 程
 8/25 東京〜カトマンズ
      民宿「トラチャン・ハウス」にて先発隊と合流
   27 ランタン山群ナヤ・カンガ峰(5,843m)で順応登山
      カトマンズ(バス)シャブルベンシ
   28 (徒歩)ラマ・ホテル
   29 (徒歩)ランタン村
   30 (徒歩)キャンジン←→ベースキャンプ(以下BC)予定地
   31 (徒歩)BC
 9/ 1 ハイキャンプ(HC)往復
    2 HC宿泊
    3 登頂後BCへ
    4 BCにて休養
    5 BC〜頂上付近でビバーク
    6 BCに下山後、ランタン村まで
    7 (徒歩)シャブルベンシ
    8 シャブルベンシ(バス)カトマンズ
    9 予備日
   10〜13 カトマンズにて休養、マナスル準備
   14 ヘリコプターでサマ村へ
   15 ベースキャンプ(5,000m)建設
   16〜10/10 マナスル登山活動(25日間)
10/11 ベースキャンプ撤収(ラルキャ峠越えの帰路キャラバン)
   18 カトマンズに帰着
   21 先発隊日本帰国
   24 後発隊日本帰国
 国内連絡先

  日本勤労者山岳連盟 野口信彦(労山事務局長)
〒162-0805 東京都新宿区矢来町108番地
TEL 03-3260-6331/FAX 03-3235-4324

 現地の連絡先

●現地エージェント/登山期間中の手紙宛先

●カトマンズ宿泊先(トラチャン・ハウス)
 Mrs. Yumiko Okubo
 c/o 「COSMO TREK (P) LTD.」
 P.O.Box 2541, Lazimpat, Kathmandu, NEPAL
 Tel.: +977-1-416226, 411437
 Fax: +977-1-415275
 E-mail: cosmo@mos.com.np
 c/o Mr. Mohan Singh Tulachan
 New Baneswor, Kathmandu, NEPAL
 Tel.: +977-1-482989 or 482630

●駐カトマンズ日本大使館 Embassy of Japan
P.O.Box 264, Kathmandu, NEPAL
Tel.: +977-1-410397, 414083, 414101 Fax: +977-1-419238