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大山(おおやま) |
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text by miho |
【DATA】
登った日 2004/5/30(日)
お天気 はれ
メンバー4名 (sayaka, nana, yuri, miho)
山の高さ 1252m
登った高さ 約940m
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さやかちゃんが一時帰京した時のフォト |
■地図■ 昭文社 山と高原地図「丹沢」
■アプローチ■ 秦野駅(小田急小田原線)よりバス(神奈川中央交通)蓑毛バス停下車
■ルート&スケジュール■
秦野駅8:45 → 蓑毛バス停9:10 → ヤビツ峠10:10着〈休憩〉10:25発 → 大山山頂11:30着
〈昼食〉12:05発 → 見晴台12:50着〈休憩〉13:30発 → 阿夫利神社下社13:45着〈お参り〉
14:00発 → 男坂経由でこまや旅館へ
■温泉■ 大山温泉「こまや旅館」
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”さやかちゃん壮行会大山登山”report! |
今回の「からっぽクラブ」は、新たな一歩を踏み出すさやかちゃんを送り出す「壮行登山会」です。行き先は、大山。さやかちゃんが旅立つ前日、集まったのは4人でしたが、心配されたお天気も秦野の駅に着く頃には綺麗に晴れ上がりました。こんなにうつくしい青空は、「からっぽクラブ」には珍しいことです(笑)。旅立つさやかちゃんを、大空も祝福しています。
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これは、ひとりの女の子の物語です。その女の子は、南の国で生まれて、お母さんやお父さんの愛情をおひさまと同じくらい十分に受けて、こころのやさしい、うつくしい娘に育ちました。成長した娘は、社会の中で自分に何ができるか、自分が何をしたいかをずっと考えていました。そして看護師になるために学んでいたある日、見つけたのです。 《生まれてくる命のために、新しい命をこの世に送り出すお母さんのために》 「自分にも何かができたら、どんなにしあわせでしょう」 その夢を叶えようと、大きな街に旅立ちました。
大きな街は彼女の夢を飲み込んでいきました。「新しい命のために」働くことはできなかったのです。それでも、彼女は「あたたかい職場」に恵まれ、「自分を必要としている人」がいる責任感と喜びの中で暮らしていました。 |
駅に着くと、改札でさやかちゃんがニコニコしています。レモンイエローのひまわり模様のTシャツが素敵です。バス停に行くとすっかりアスリートになったゆりちゃんが日焼けした笑顔で迎えてくれました。な〜んだ、さやかちゃんのTシャツはゆりちゃんからのプレゼントだったんだ。とってもお似合いです♪ しばらくして改札前でみんなを待っていたというななさんとも合流、予定通りのバスに乗ります。4人が顔を合わすのは久しぶりですが、挨拶もそこそこにお喋りに花が咲きます。山のこと、海のこと、仕事のこと、恋のお話… あっという間に蓑毛バス停に着いてしまいました。
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町で暮らしていても、娘は休日には山や森を歩くのが好きでした。同じ気持ちの仲間と出逢い、話をしていくうちに、自分が本当は何をしたかったのか、真剣に考えるようになりました。山を一緒に歩く娘たちは自分の歩く道を、それぞれのやりかたで切り拓いているのです。 |
実はこの4人、昨夏、台風10号が近づく中を新穂高温泉まで出かけ、由美子さんと合流し、台風一過の西穂高岳に登った4人です。そして大山! ななさんはこの1年で大山には繰り返し登り、「大山登山マラソン」にも参加しましたし、ゆりちゃんと、わたしはそれぞれさやかちゃんとふたりで登ったことがある、思い出深い山です。今回のコースも、そんな思い出のコースを取り混ぜて決めました。
蓑毛からの登りは小学校の遠足で使って以来わたしの好きなルートで、大山にしては人が少ないところが気に入っています。この日は、ずいぶん大勢の方がいらっしゃると思ったら、清掃登山をしていらっしゃる団体の方々でした。登山道だけでなく沢まで降りて、丁寧にビン・カンなどを拾っていらっしゃいました。
誰も写真を撮ることもなく、緑の美しさに目を奪われたり、降りそそぐ陽光のまぶしさに驚いたりしながらも、めずらしく喋りっぱなしの登山です。ほぼコースタイム通りに歩いていましたが、それでは物足りないゆりちゃんが、ときどきランニングをして先行します。そんなことをしているうちに、頂上に着きました。まるで渋谷駅前交差点かと見まごうほどに大にぎわいです。そのせいでしょうか、いつもわたし達を迎えてくれる鹿はいませんでした。
さて、たのしいランチタイムです。ゆりちゃんはにんじん入りのパンケーキ、ななさんのキッシュと、手作りならではのごちそうが並びます。わたしはごめんなさい、昨日帰りが遅かったので、デザートにさくらんぼ(初物!佐藤錦)を買ってきました。
でも、なんてったって、さやかちゃんママの酢の物と、ナスの味噌油炒めには感激でした。南の国の味付けらしく少し甘めなのが、登った後にはうれしいですね。お母さまは、さやかちゃんのお引っ越しのお手伝いにいらっしゃっているのだそうです。お母さまのやさしさを美味しくいただきました。
食べることで盛り上がっていると、ゆりちゃんがなにやらB5くらいの大きさのボードを取り出します。さやかちゃんへのメッセージ・ボードです。すでにゆりちゃんのメッセージが書いてあります。ななさんとわたしが書くスペースもちゃんとあるのです。そして、そして、そのボードは二つ折りで、広げると、なんと大山の地図が!
ゆりちゃんの、素晴らしい手作りメッセージ・ボードに、ななさんとわたしもメッセージを書いて、さやかちゃんに贈呈式をしました。
そうこうするうちにも山頂は、新たに到着する人でますます混雑してきたので下山することにしました。どんどん下って、見晴台まで45分でした。風が抜けて気持ちがいいので、一休みすることにします。ななさんが、「ここを真っ直ぐ行くと日向薬師」と、そのルートを歩いたときの話をしてくれます。わたしはここでリュックの中を軽くすることにしました。おやつにと持ってきた「ずんだもち」です。生協で買ったものですが、広げるなり、ゆりちゃんとななさんが「○○クラブの〜♪」と、声を揃えて喜んでくれたので、持ってきた甲斐がありました。4人で大きな「ずんだもち」を6個、ぺろりと食べて、まだまだお喋りも続きます。
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娘は決意しました。「転職しよう」。けれども、夜勤もあるシフトの中で、自分の希望通りの新しい職場を探すのは、並大抵のことではありませんでした。「今年は諦めよう」と思っていた矢先、北の国で「助産師」を捜しているという知らせが届きます。 でも、面接のために使える休日は1日しかありません。 日帰りで、北の国の、あまり行きやすいとは言えない町まで、面接のために往復できるでしょうか… 「今、行かなければ。行ってみなければ。」
気がつくと娘は、飛行機に乗っていました。 |
気がつくと、30分以上もお喋りをしてしまいました。「まったりしちゃったね〜」4人で笑って、再び下り始めます。林を抜ける風が爽やかです。阿夫利神社下社に着くと、利き酒の集いをしています。赤い顔のおじさんたちが上機嫌でケーブルカーの方に歩いていきます。お参りを終えたわたしたちも、さやかちゃんの前途を祝して、一口いただきます。ゆりちゃんと、ななさんがいろいろな味を楽しんでいる間に、さやかちゃんはお神籤を引いていました。阿夫利神社下社のお神籤は、ちょっと変わっていて、小さな幸運のマスコットがついています。
さてさて、さやかちゃんのお神籤は?
お神籤って、最初に、その御神託に合わせた和歌が詠まれていますよね。
なんと!その和歌に「さやか」の文字が!
ぜったい、素敵な運が開けるね。さやかちゃん!
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「北の国で働こう。もう年度が替わってしまっていて、今の職場には迷惑をかけてしまうけれど、それでも、今、行かなければ、きっといつまでも自分の本当にやりたいことには手が届かないままになってしまう」
苦しい思いを、多くの上司や先輩は理解してくれました。そして、南の国にいる両親も、応援してくれました。 |
今年の3月、ななさんが走った道を下って、温泉へ。こまや旅館で汗を流して、ビールで乾杯!
さやかちゃんの未来、みんなの未来、を祝します。
「また、みんなで一緒に北アルプスにも行きたいね」
そんなふうに爽やかな皐月の一日は暮れていったのでした。
こうして、さやかちゃんは北の国へ飛び立っていきました。それはゴールではなくて、新しい一歩です。よいこと、楽しいことばかりではないでしょう。でも、さやかちゃんは、これから一番美しい姿を見せてくれる、その北の国で、大勢の人に愛されることでしょう。そして、厳しい厳しい冬には、南の国で生まれたさやかちゃんの見せる笑顔が、一段と輝くことでしょう。
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その後、新しい職場で働き始めた娘は、夏の終わりに一度、大きな街の仲間に会いにやってきました。北の国での仕事は、初めは戸惑うことも多かったそうです。大きな街から、北の国の町へ行ったのですから、「新しい職場」という以上に違いが大きかったのかも知れません。でも、一日一日、一歩一歩、北の町を愛し、愛されてゆく彼女の笑顔は、北の国の大地のように豊かで、美しいのでした。
そう…、娘と、その仲間たちの物語は、まだまだ続くのですが、今日はここまで。
またいつか、お目にかかりましょう。 |
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おしまい |
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